アルツハイマー型認知症(AD)と生活に身近なアルミニウムとの関連を調べた学術論文が最近、海外で相次いで発表されている。一時はADの原因物質と疑われたアルミだが、単独の要因ではないとする見解が定着し、国内の議論は低調になった。一方、発症に関わる多くの「危険因子」のうちの一つとみる研究は、欧米を中心に続いている。 今年1月、英キール大学などのグループの論文が、国際学術誌トレース・エレメンツ・イン・メディスン・アンド・バイオロジーに発表された。近親集団で多発し家族性ADと呼ばれる患者らの脳を、直接分析した結果が注目された。 グループは同国の研究機関が保存している、家族性ADを発症して死亡した男女計12人の脳組織から、高濃度のアルミを検出した。通常、乾燥させた脳組織1グラム中のアルミは1マイクログラム(マイクロは100万分の1)程度だが、対象者の脳の一定の部位から1人につき12点ずつ採取した計14