昨年3月。信頼と実績のある老舗のレーベルである中公新書から、『統一教会』という簡明かつタイムリーな題目の書籍が出版された。著者は、本邦における統一教会研究の第一人者の櫻井義秀氏である。「あとがき」によれば、櫻井氏は2012年に本書の執筆を依頼され、2022年7月の安倍元首相銃撃事件を受けて、中公新書のほうから新書の完成を促され、脱稿に至ったという。 その分野の最高の権威を誇る学者が十年の歳月をかけ書き上げた本書が、中公新書から出版された反響は大きく、朝日新聞や沖縄タイムス、日本ジャーナリスト会議(鈴木エイト氏がこの団体から「大賞」を受けている)のブログ等でも好意的な書評が掲載された。中でも、日本の宗教学を牽引する島薗進氏が、日本経済新聞に本書の書評を寄稿し、読書系ウェブマガジンで2200字に及ぶ「重厚な」コメントを残しているのは注目に値する。 教えられるところのきわめて多い書物であり、新宗