法学セミナー2015年7月号 出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2015/06/12メディア: 雑誌この商品を含むブログを見る 2015年の法学セミナー7月号に、中村一成「ヘイトクライムへの修復的アプローチを考える」が掲載されている。これは、日本でのヘイトクライム*1に対する、修復的司法(restorative justice)の可能性を模索した、おそらく初めての論考である。ヘイトクライムに対する修復的司法実践の可能性については、マーク・A・ウォルターの『ヘイトクライムと修復的司法』が公刊されたところで、国際的にも注目を浴びている分野である。ヘイトクライムは、加害者が被害者に対して深い憎悪を持っているため、長らく修復的司法では禁忌とされてきた。しかしながら、そうしたヘイトクライムは、裁判で厳しい判決が出ても加害者の更生につながらず、難しいとされてきた。加害者は差別意識によって、自己正