はじめに 先日「ヘーゲル『精神現象学』覚書(9)」という記事に関して、Twitterで小田智敏さんと浦隆美さんよりコメントを頂いた。そのコメントの中でヘーゲル『精神現象学』のテクストに関する疑問が提出されたため、その点に関して以下に述べたいと思う。 ヘーゲル『精神現象学』に第二版は存在するか? 原崎道彦(1959-)は『精神現象学』の第二版に関して次のように述べている。 ……ヘーゲルは『現象学』の第二版をだそうとしたのだった。だが、その『現象学』第二版はついに出版されなかった。というのは、ヘーゲルが『論理学』の第一巻・第一文冊の改訂第二版のための「序文」を書きあげたのが一八三一年の一一月七日のことだったのだけれども、その六日後の一三日にヘーゲルは急死してしまうからだ。 …… けれども、すでにこのときヘーゲルは『現象学』の第二版のための仕事をはじめていて、急死のまぎわ(二日前)には再版のため