「ルックバック」の初見時、一番強く焼きついたのがあの殺人者の人だった。 SNSで話題になって半日後くらいのタイミングだったのだが、文化的教養に欠けアンテナ感度も低いので、作品自体に対しては「何かすげえ」としかわからなかった。その後、タイトルの意味とか何ページの英文がとか盛り上がっている人たちを見ながら、「みんな頭良いんだなあ」と感心したものだ。 そんな人間には、藤野さんや京本さんはキラキラ眩しすぎてうまく像を捉えられない。社会性も持たないので「オタクだと思われてキモがられちゃうよ」の人には「うるせえモブ」としか思わない。 唯一、「何となくわからんでもない」と感じたのがあの人だった。「普通の人」をやれないことに絶望し作家を夢見た十代の自分、ただ文章を書くのが好きなだけでそれで飯を食えるような才はないと悟ってしまった二十代の自分、その延長上にあの人の苦しみを見た気がした。 「その道」にしがみつ
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