米国が国家分裂という最大の危機に直面したのは、共和党のリンカーンが1860年選挙で勝利し、第16代大統領に就任した直後に起きた南北戦争(1861年~1865年)である。この戦争の死者は南北双方で合計62万人余に達し、米国史上で最大の犠牲者を出した戦争となった。 リンカーンは奴隷制を既に採用している南部諸州には干渉しないものの、準州への奴隷制の拡大には反対する立場を取り、共和党の候補に選出された。本選では民主党の分裂に助けられ、選挙人180人を獲得して勝利を収め、共和党出身で初の大統領となった。ところが、その直後に南部11州が合衆国から離脱。アメリカ連合国(CONFEDERATE STATES of AMERICA)を結成したことから、1861年4月に戦争が始まった。 リンカーンは、国家の分裂を断固阻止するとの強い態度で臨んだ。北部23州の工業力を背景に、軍事面では海上からの南部封鎖や西部戦