今年1月、名古屋大学と東京工業大学、東京大学、独立行政法人・科学技術振興機構(JST)の研究グループが、英国の科学誌『Nature Materials』に「チタン酸ストロンチウムに貯められた二次元電子ガスの巨大熱起電力」という、長い題名の論文を発表した。電子版の掲載日(1月22日)に合わせて記者発表が行われ、論文の中身を解説する発表文には「ありふれた酸化物を使って巨大な熱起電力を発見。 実用化に大きく前進する熱電変換材料の開発に成功」と、タイトルが付けられた。読み進めてみると、「ありふれた物質」と紹介されているのはチタン酸ストロンチウム。人工宝石の一種としても知られる物質だった。もう一つのキーワード、「熱起電力」とは、温度差を与えたときに起こる電力のことを指す。 つまり、これは「発電する宝石を創製した」ということを意味しているのか? それはどうやってつくられ、どんな原理が背後にあり、いずれ