フェミニズムが女性が自立することを説き、自由を求めることを支援するイデオロギーだ、ということは、今では皆さん(頭では)ご存知でしょう。でも、そのフェミニズムにも上流と下流があるということは、あまりおおっぴらには語られません。具体的に名指しするなら、上野千鶴子は上流フェミニストです。彼女の語りかける読者は、高い学歴とキャリア(教員、医者、弁護士、官僚 etc.)を持つお金持ちで美人で健康な女性たちで、そういう人々に「もっと自由に、もっとわがままに生きろ」とけしかけます。彼女の近著『おひとりさまの老後』でも、おひとりさまを楽しむためには「健康・お金・時間」の三つの要素が重要である、とはっきり巻頭で宣言している。この本は、その三要素を満たせた一握りの特権階層の人々が、より楽しく気ままに生きるためのガイドブックです。 でも、落ち着いて考えてみれば、最初からその三要素を満たせるような人は、放っておい