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  • これが遺品になるなんて|嘉島唯

    人は二度死ぬ。 一度は生命が失われたとき。もう一度は忘れられたときだ。そんな話はよく聞く。 遺品は、二度目の死を遅らせるものなのだろう。死んだ人が使っていたものは、記憶のトリガーになる。だから、捨ててしまうとその人が失われてしまうような気持ちになるのかもしれない。 幼いときに母を亡くした私は「遺品」を認識していなかった。人が死んだら、すべてが自然と消えてしまうものだと思っていた。もちろん、母が使っていたモノは、存在としてそこにはある。でも、手にとることもなければ、捨てることもない。母が他界してから20年もの間、誰にも触れられずにいた。 一度だけ、父に聞いたことがある。「ねえ、捨ててもいいかな」と。少し間を置いて「もう少し待って」と言われた。 やんわりとした拒否は、感傷だけではない理由があったように思う。 帰る場所の証小さい頃、親には「あれを買って欲しい」とねだってばかりいた。でも、年をとる

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