「検査を受けていたら、彩英(さえ)は今いなかったかもしれない」 私は、両親から衝撃的なことばを聞いた。ダウン症の妹のことだった。いま、新型出生前検査=NIPTを受けた人のうち胎児にダウン症などの障害がある可能性が高いとわかった人の9割は出産を諦めている。命を選ぶとはどういうことなのだろう。私は、決断を迫られた女性たちに話を聞くことにした。 (おはよう日本ディレクター 植村優香) 3姉妹の長女の私は、9歳年が離れた末っ子の妹・彩英(18)をかわいがってきた。 東京で働く私が福岡に帰省するのを、彩英はいつも楽しみにしてくれている。 最近、彩英はスマホを覚えた。 新幹線で帰る私の現在地を「今は何県?」と逐一確認してくるメッセージがおもしろくて、私はつい車内で笑ってしまった。 家族と迎えた正月、一緒に近所の神社に初詣に行って、おせちを食べて…。 私たち家族にとって、ダウン症の彩英がいるのは、当たり
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