福島の被ばくと子宮頸がんワクチン。弊誌Wedgeが取り上げ続けてきたこの2つのテーマには似通った問題が潜んでいる。福島出身の社会学者、開沼博さんと、医師・ジャーナリストの村中璃子さんが、縦横無尽に語り尽くす。 ※本記事は4月20日発売のWedge5月号の記事の一部です。 編集部 被ばくとワクチンをめぐってどのようなことが起きているのか、実態を教えてください。 開沼博(以下、開沼) 福島の惨事に便乗する言説によって、二次被害と呼べる問題が明確に出てきています。 事故直後の「急性期」には、避難する過程で多くの人が命を落としました。放射線の危険性を過剰に煽る報道によって、農業や漁業に従事する人の中に自殺したり、将来への悲観から廃業したりする人が出ました。 しかし、状況がある程度落ち着いた「慢性期」の現在もそういった惨事便乗型言説による実害は発生し続けている。避難をし続けて、心身に不調を来たして亡