科学者アイリーン・ペッパーバーグはアリゾナのツーソンへ向かう飛行機に乗ろうとして、搭乗口の係員から不機嫌そうに引きとめられた。鳥かごは持ち込み禁止だというのだ。しかしペッパーバーグの連れである、オウムの「アレックス・ペッパーバーグ」はちゃんと搭乗券を持っていた。それに自身が重要な研究の対象であり、テレビに出演している“セレブ”であることを示す書類もあるのだ。 ◇ ブランダイス大学で特任教授、ハーバード大学で講師を務めるアイリーン・ペッパーバーグ。動物の言語習得研究の第一人者だ(ブルームバーグ) 上司に制止され、その係員は「機内食のご注文もされたんでしょうね」と、とげとげしく言った。 「ええ、もちろん注文したわ」。ペッパーバーグは少しもひるまずに答えた。「フルーツの盛り合わせよ」 これはハーバード大学で動物の認識力について講義をしながら、ブランダイス大学の研究室を拠点に研究を