本件は,ある予備校(以下「本件予備校」という。)を経営するX社が,その元受講生であるYが同予備校教材(以下「本件教材」という。)をメルカリに出品して第三者に譲渡した行為について,同予備校規約(以下「本件規約」という。)に反するとして,Yに対し違約金500万円及びその遅延損害金の支払いを求めて訴え提起したという事案です。 本件については,今後も繰り返し,他の予備校その他各種スクールとその受講生との間で,類型的に同種事案が多数発生する可能性がある(消費者事件の一類型)という点で,その裁判例は極めて大きな社会的意義を有すると思われます。同種事案に遭遇された方(受講生側・消費者側)は,是非とも,本件裁判例(特に「控訴理由書」の主張)を参考にしてください。 1 本件事案の概要と特徴 本件特徴を端的に言えば,同種事案が多数発生して多数の被害者が出るおそれのある(又は現に多数の被害者が出ていた可能性のあ