1 日本銀行 2015 年 12 月 はじめに 「デジタル通貨」 は、 近年話題となっている 「ビ ットコイン」のように、特定の主体の債務として は発行されず、 「分散型元帳」 (distributed ledger) という技術を用いて、個人間など個別の主体の間 で、特定の第三者機関を介在させずに支払決済を 行う、といった特徴を有する1 。 このようなデジタル通貨については、銀行口座 を持たない人も含め、さまざまな主体間において、 クロスボーダーでの決済などにも利用できる、低 コスト、迅速かつ簡便な支払手段となり得るので はないかとの見方があり、先行きのさらなる発展 を予想する向きがある。また、デジタル通貨の基 盤である分散型元帳技術には、必ずしもデジタル 通貨向けに限られず、広範な資産の記録や登記な ど、幅広い応用の余地があり得ると考えられてい る。このような問題意識を背景に、デジタル