第1節で見たように、我が国の事業所・企業ベースでの開業率は、近年、下げ止まりから上昇に転じつつある。 そこで、次に、開業した企業の事業存続の様子について見てみたい。 第1-2-21図〔1〕は、開業後10年までの事業所について、それぞれ前年からの生存率を示している9。これを見ると、開業した直後の事業所は生存率が低く、その後年数を重ねるにしたがって次第に生存率が安定していく様子が示されている。 9 今回の手法を用いる上では、パネルデータ(個々の調査対象を時系列で追跡できる統計データ)が必要になる。さらに、開業年をある程度特定的に推定し、経過年別に生存率を観察する上では、毎年実施される調査を用いることが望ましい。この条件を満たす統計として経済産業省「工業統計表」を用いた。ただし、同統計の設計上、集計対象は製造業に限られ、また従業者4人以上の事業所に限定されていることに留意が必要である。なお、別の