かつての通信事業者のサービスは、安全性や品質は高いが価格も高く、おいそれと利用できるものではなかった。そうした状況を変え、安全でありながら安価な通信サービスを生み出したのが、VPNの技術だ。通信事業者のサービスでVPNがどのように使われていったのか見ていこう。 専用線の弱点を解消するVPNサービス 企業での情報のやり取りは、他社に漏れては困るので、企業ではセキュリティの高い通信環境が必要になる。こうした場合、そもそも他のユーザーが利用できない回線を用いればよい。他のユーザー自体を排除すれば、他の通信と混信することや、帯域を圧迫されることもないからだ。これを実現するのが、通信事業者が提供する「専用線」である。 専用線は通信事業者が公衆の敷地に張り巡らせている回線を、ユーザーに貸し出すことで、遠隔同士での通信を実現するものだ(そのため、専用線の英語表現は「Private Line」ではなく、「