連日、全米で吹き荒れるデモと暴動。メディアには商店略奪の光景や、デモ隊と警官隊の衝突などショッキングな写真が溢れ、暴力を批判する声が盛んに聞かれる。 だが、一連の事態の本質を理解するには、発端となった警官による黒人男性殺害事件、その背後にある黒人差別の実態、特に「systemic racism システミック・レイシズム=システム化された人種差別」(以下、本稿では「制度的差別」)を知る必要がある。 白昼の中、首を「8分46秒」膝で抑え続け殺害 5月25日、ミネソタ州ミネアポリスの路上で、警官が黒人男性ジョージ・フロイド氏の首を膝で「8分46秒」抑え続けて殺した。フロイド氏は後ろ手に手錠を掛けられて地面にうつ伏せにされ、身動きできない状態であった。 その様子は通行人の17歳の少女によって撮影されている。フロイド氏は「息ができない! I can't breathe!」と何度も繰り返し、「あぁー!