もしも君がほんとにこの話を聞きたいなら、僕がどこで生まれたとか、子供の頃はどうだったのかとか、仕事とか性癖とか、そういうお見合い相手みたいなくだらないことは聞かないで欲しい。話題がないからお見合い相手みたいにそういう差し支えないことから聞きたがるのかもしれないけどさ、実をいうと僕は、そんなことはしゃべりたくはないんだな。この話だってどうせ嘘だと思うんだろう?だけどある種の真実は嘘をもってしか語れないのさ。頭のかたくなった大人にはわからないと思うけど。今朝、鏡を見たらひどい赤ら顔だったんだ。目もいつもと見え方が違ったんだ。地獄のバッタになった気分。これは眠っているあいだに、梅干の種か、使わなくなったダッチワイフの○○○を、目とまぶたのあいだに入れられたのかもしれない、と手でこすってみようとしたのさ。すると、その手も赤く、ごつごつとしていてまるで怪物のよう。不審に思った僕がさっきより目を凝らし