日本の義務教育には存在しない飛び級と留年。フランスではどちらも、小学校から存在しています。そのメリット・デメリットを考察する前に、「フランスの学校教育システムには共和国の理想が詰まっている」という肝心なところを、まず説明したいと思います。 フランス国民教育・青年省のHPを見ると、「教育制度の主原則」として「教育の自由、無料、中立、非宗教、義務」の5つの柱が掲げられています。さらに「1958年10月4日制定の憲法により、あらゆる段階における無料かつ非宗教の、公立の義務教育実施は、国家の義務である」とも。教育の機会を無料で提供することは、国の義務なのです(まさに義務教育!)。義務教育は3歳から16歳、日本の保育園から中学校までにあたります。 この「国家の義務」の教育を平たく解釈すると、裕福な家庭の子どもも、そうでない家庭の子どもも、移民・難民の子どもも、みんなが等しく国民教育・青年省の指導下に