『となりのトトロ』という映画を観たひとは多いだろう。 昭和30年代初頭。車はあるけれどテレビはまだ普及していない時代。都心から郊外の丘陵地帯に越してきた学者の父と二人の娘。周囲には、田んぼと、深い森に覆われた「里山」。そんな山の主のような巨大な楠には、不思議な生きものが住んでいた。その名はトトロ……。 この映画を見て、そう、たとえば今50歳以上の人はこう思ったりする。 ああ、自分が子どものころは、まさに「トトロ」のような風景がいっぱいあったなあ。都心から郊外に出たら、青々とした緑に包まれた里山があったなあ。 カブトムシなんかとったよなあ。 田舎のおばあちゃんのところにいったら、ほんとに自然が豊かだったよなあ。 それに比べて、今の日本は、緑がどんどんなくなって、文明が発達するのはいいけれど、自然も緑もなくなるし、里山風景も消えてく……。 とまあ、「トトロ」を見た大のおとなは、だい