過去を忘れず明日に向かう「平和のための信州・戦争展」(実行委主催、中日新聞社など後援)が八月十~十二日、飯田市鼎文化センターで開かれる。太平洋戦争末期に航空機の燃料不足を補う代替燃料として、「松根油(しょうこんゆ)」を造っていた乾溜(かんりゅう)釜を初公開する。 松根油は、松を伐採した後の根を掘り起こし、乾溜して造られる。燃料不足により一九四五(昭和二十)年、全国的に増産運動が展開されたが、実用化する前に終戦になった。飯田下伊那地方でも各地に工場があり、泰阜村では乾溜釜が残っていた。 実行委の原英章さん(70)=喬木村=によると、この乾溜釜は鉄製で重く、大きさは直径一メートル、高さ一・五メートルほど。工場跡地に近い民家で貯水槽として使われており、松根油を研究する寺岡義治さん=飯田市=が近年の調査で見つけた。現存する乾溜釜は珍しい。