特別養護老人ホームへの入居待機者は全国で四十数万人いると言われる。公的なホームは圧倒的に足りない。超高齢社会を迎えたいま、高齢者の子供もまた高齢化し、自ら働き続けなくてはならず在宅で親の介護をする余裕などない。まして身寄りがなければより状況は厳しい。 仕方なくショートステイを繰り返したり、介護サービスを斡旋するワンルームマンションといった低所得の高齢者をターゲットにした民間の“あやしげな”住まいに頼らざるを得ない人もいる。 公的なホームの不足を補うように介護付きの有料老人ホームが雨後の筍のように各地に見られるが、ここに入ることができるのはかなりの所得か資産のある人たちだ。 また、こうしたホームはビジネスであり、時に経営難に陥り入居者の生活に影響が出ることもあり得る。加えて、ビジネスと福祉の合体であり、本来の高齢者福祉の考えが運営の基本にしっかり根付いているかといえば疑問なところもある。 介