【ロンドン三沢耕平】英国の欧州連合(EU)離脱を巡る交渉は双方の溝が埋まらず、経済的なルールを決めないままの「合意なき離脱」となる最悪の展開が現実味を帯びてきた。英国にとってEUは総輸出入の約5割を占める最大の貿易相手国。ヒト、モノ、カネ、サービスの自由な往来が失われることで何が起こるのか。前例のない事態だけに、市民生活や経済活動は大混乱しそうだ。 「合意なき離脱」になれば、英企業は関税同盟の一員として享受してきた免許や許認可を全て失い、関税や通関手続きといった貿易障壁に直面することになる。そのため英政府はEU加盟国と取引のある企業に「合意なき離脱」への準備を促し、税関検査に必要な新しいソフトウエアや機材、人材確保について助言している。