リチャード・チェイス Richard Chase a.k.a. The Vampire of Sacramento (アメリカ) ベストセラーになったロバート・K・レスラー著『FBI心理分析官』の冒頭で紹介されている、「ツカミ」として申し分ない猟奇事件である。「サクラメントの吸血鬼」と呼ばれたこの男は、UFOからの指示に従い、被害者の血を飲んでいたのである。 彼は誰が見ても明らかに精神異常者であり、彼自身よりもむしろ彼を野放しにした者にこそ責任がある。 1950年5月23日、カリフォルニア州サクラメントの中流家庭に生まれたリチャード・チェイスは、少々内気ではあるが、ごく普通の子供だった。しかし、12歳の頃に、まず母親がおかしくなった。「浮気をしている」「麻薬をやってる」「私に毒を盛っている」などと夫をなじった。毎日のように続く両親のいさかいに巻き込まれて、チェイスの心は次第に蝕まれていった