子供向けのスポーツで「勝利至上主義」を見直す動きが広がっている。神戸親和大学教授の平尾剛さんは「競争主義が過熱すると、選手自身の成長の可能性を狭めてしまう。スポーツの目的は勝つことだけではない」という――。(取材・構成=フリーライター・山川徹)(第3回/全3回) 【写真】山川徹氏の著書『国境を越えたスクラム 日本代表になった外国人選手たち』(中公文庫) ■勝利至上主義はスポーツの可能性を置き去りにする ――平尾さんはスポーツの行き過ぎた勝利至上主義に警鐘を鳴らしていますね。一方でスポーツには勝敗がつきものという考え方もあります。 勝利至上主義が行き過ぎるのではなく、過剰な競争主義の結果、勝利至上主義に陥ってしまうという点が問題だと考えています。 そもそも勝利至上主義とは、スポーツに取り組む価値のなかで、勝利がもっとも優先される考え方です。でも、スポーツに取り組んで得られることは無数にありま