イスラム組織ハマスのイスラエルへの越境攻撃から今月で半年。イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区での軍事行動は、4万人に近づく犠牲者を出しながら続いています。この危機の世界的な影響や日本外交に求められるものなどを、平和構築が専門で地政学に関する著書もある国際政治学者、篠田英朗・東京外大教授に聞きました。【聞き手・鈴木英生】 越境2日前、ガザの中学生と広島にいた… ――今回のガザ危機をどう見ていますか? ◆これまでのパレスチナ紛争と桁違いの人命が奪われているうえに、全く終わりが見えません。欧米中心の国際秩序を巡る世界的な思想対立の激化や欧米の権威失墜といった変化を伴っており、時代の転換点となる大事件です。 実は、私は昨年3月にガザで講演をし、10月5日には来日したガザの中学生と広島の高校生の交流のお世話をしました。この中学生たちは、今もガザに戻れずヨルダンにいます。彼らは、広島平和記念資