コロンビアの井伏鱒二 July 10, 2011 17:10 ガルシア・マルケス「予告された殺人の記録」という本を、今読み終えたところです。新潮文庫の裏表紙には、こう書いてあります。 町をあげての婚礼騒ぎの翌朝、充分すぎる犯行予告にもかかわらず、なぜ彼は滅多切りにされねばならなかったのか? 閉鎖的な田舎町でほぼ三十年前に起きた、幻想とも見紛う殺人事件。凝縮されたその時空間に、差別や妬み、憎悪といった民衆感情、崩壊寸前の共同体のメカニズムを複眼的に捉えつつ、モザイクの如く入り組んだ過去の重層を、哀しみと滑稽、郷愁をこめて録す、熟成の中篇。 140ページほどのそれほど長くない小説だったけど、最初の50ページはなかなか読み進まなかった。これは小説であって、事実そのものではないけれど、実際にあった事件をかなり忠実に再現して書かれたという。コロンビアのノーベル賞作家ガルシア・マルケスはこの本を自分の