(眠って見た夢を素材に短い小説) 一寸の先の昏さに指を切る 一秒前の踏み板もなし (標準語ではないので、わかりにくいところは、 “フワッ”と理解していただければ……) ええんやって、お父ちゃん。うち、これまで働くのが嫌やと思たことなかったし、むしろ好きやしな。 学校行ってる時は、あんまり勉強できんかったけど、なんとか高校出て、今のスーパーに正社員で雇てもらえて、それでもう十二年や。ほんま良かったと思てきたんで。 そりゃ最初は、ぼんやりのうちのことやから、失敗して怒られて泣いたりしたけどな。 今では、お歳暮商戦で雇うバイトの子らに仕事割り振るんも私の役目や。 まあ、今でもたまあにミスすることもあるけど、自分でなんとか後始末できるしな。 お父ちゃんは、よううちのこと、運が悪い子や言うてたけど、この仕事につけたいうこと考えたら、そんなでもなかったやろ。 うん、たしかに、最初言うてたよりは長うかか