JICA地球ひろば主催のセミナー「フェアトレードから考える世界と日本のつながり」が7月19日、都内で開催された。その中で立命館大学の大野敦准教授が「フェアトレードは貧困削減に役立つのか」のテーマで基調講演をした。 大野准教授によると、2007年の世界全体の貿易額は14兆ドル(約1000兆円)だが、このうちフェアトレードの販売額は推定50億ドル(約4500億円)。比率に換算すると全体のわずか0.0003%にすぎないという。「フェアトレードは、世界の流通に大きな影響を与えているとは現時点では到底いえない」と、大野准教授もそのインパクトの小ささを認める。 途上国の農村地域の一部では実際、フェアトレードで地元のコーヒーや民芸品を売るよりも、都市部に出稼ぎへ行った方が儲かるという現実がある。支援の対象となる地域の土地はやせているのが通常で、作物の生産性が低いからだ。さらに、植民地支配や戦争で荒廃して