――2022〜2024年にかけて再三にわたり円買い介入に踏み切ったのはなぜか。 神田 まず、為替市場、ましてや為替介入は私の全体の仕事の中で、1割以下の小さな部分であるが、しかし、マクロ政策から、エネルギーといったセクター政策まで、深くかかわりあっている。内外当局といった関係者ともほとんどマーケットを超えた文脈において議論してきた中、介入はその大きな営みの中の1つのインストルメント(手段)として位置づけられており、介入だけ取り出して「なぜ」といわれても答えるのはむつかしい。 しかし、いずれの場合も、ファンダメンタルズとまったく乖離した投機的な動き、具体的には投機筋、特にマクロ系ヘッジファンドなどが円売りで1ドル180円、200円を目指し、リターンを上げようとしていた。急激で一方的な動きが続き、そのままでは円はフリーフォールとなるリスクさえあった。 為替介入していなかったら、今ごろ本当に1ド