被災地の幼児に「津波ごっこ」「地震ごっこ」という遊びが広がっている。地震発生当時の場面を消防団員や母親などの「配役」を決めて再現する遊びだ。「悪ふざけが過ぎる」と感じる保育士や保護者が多い。だが、専門家は、この遊びが子どもたちが抱えこんだ不安や鬱積(うっせき)の表れの一つと分析、「静観することが重要」と指摘する。 「地震だ。津波が来るぞ、逃げろ」。山田町の山田中央保育園で消防団員役の5歳の男児が大声で叫んだ。教室にいた他の園児は、段ボールで作った避難所の中に入り、防災ずきんに見立てたタオルをかぶる。4歳の女児も消防団に加わり、消火活動をする。避難所では母親役が、子ども役に「大丈夫だからね」と優しげに語りかける。 山崎美鈴園長は「不謹慎な遊びだが、止めていいものかどうかわからなかった。悲しい思いをした子どももいるのになぜ」と困惑する。保護者からの相談でも「子どもの会話の中に『死ぬ』『殺す』と