「しっかし、お前のズボンって全然違和感ねえな」 「お前って言わないでよ、いい加減。彼女でも何でもないんだから」 「はいはい、だけど、ほんと男と見分けつかねえよ、そんなんじゃ」 「うるさーい」 幼馴染の響子にカバンで頭をどつかれながら、高校への通学路の桜並木を歩く。春の日差しが温かい。俺達が今春から通う高校は、全国でも珍しいズボンとスカートを選択できる高校だ。俺は女子はやっぱりスカートだろと思ってるが。 響子は動きやすいからという理由でズボンを選んでいた。通学路には他にも何人かズボン姿の女子がいる。スカート姿の女子の中にズボンの女子がいるというのは、なんとなく違和感があるが、ショートカットで胸がアレな響子にはズボンは全くと言っていいほど違和感がない。 「あら、もうこんな時間! 急がないと遅刻だよ」 「待てよ、急いだらほら、お前ってば……」 慌てて走り出した響子は、お約束のように石も段差もバナ