今回の総選挙の結果を見て、何か空恐ろしい思いを禁じえなかった。 その直前に行われた都議会議員の選挙にもすでにその兆候が露骨に現れていたが、総選挙の結果はそれをさらに拡大したものとなった。要するに「エニワン・バッド・自民党」ということで、都議会選挙ではわずか九日前に立候補した者が、自民きっての実力ベテラン議員をただ最年少ということで蹴(け)落とし、乱立を恐れて未公認だった多くの民主系候補がわずか三日前に公認されすべて当選をはたした。反自民の風なるものについてしきりにいわれてはいたが、あの結果を眺めて改めて日本人の本質的な性情について考えさせられた。 山本七平氏の名著『空気の研究』にあった通り、日本人は事に関する空気にいかにも弱い。つまりその場の空気が作り出す風に容易に吹き飛ばされてしまう、個々の自我の希薄さ故にだろう。 戦争少年だった私の記憶としては太平洋戦争の末期、戦の末(すえ)が見え見え