2020年はアウシュヴィッツ強制収容所の解放から75年の節目にあたる。私たちはあのおぞましい歴史から何を学ぶべきなのか? いま再び世界のさまざまな場所で、特定の人種や属性に対する憎悪感情が表出していないだろうか? 米ワシントンにあるホロコースト記念博物館館長サラ・ブルームフィールド(69)は、「ナチスは降ってわいたのではない。大量虐殺には前兆があるし、ごく普通の人が残虐行為に手を染める可能性がある」と警鐘を鳴らす。 歴史に忠実に、人間の本質を映す鏡として ──この博物館は、来館者に精神的苦痛を与えることを意図していると感じます。好むと好まざるとにかかわらず、一生忘れられない恐怖を突きつけるからです。ここで働くことについて、どうお考えですか? その前に、あなたが前提としていることを、訂正しても構いませんか? ──もちろんです。 この博物館の目的は、人の心に苦痛を強いることではなく、学んでもら