2018年2月に単行本として発売され、21年2月5日に文庫化された、桐野夏生さんの『路上のX』(朝日文庫)。親に棄てられ「JKビジネス」に引きずり込まれていく女子高生の姿を描いた作品だ。自身も高校時代に街をさまよっていた経験から、虐待や性暴力被害を受けた10代の少女を支える活動を行う一般社団法人Colabo(コラボ)を立ち上げた、代表の仁藤夢乃さんが文庫版に解説を寄せてくれた。発売を記念して、一部を抜粋でお届けする。 「これは私たちの物語だ」 この本を開いてすぐ、そう思った。 街をさまよっていた高校時代の「うちら」の日常にタイムスリップしたかのように、あまりにも自然に、あのときの気持ち、空気、匂い、街で出会う人々、友達との微妙な関係、信頼と裏切りと助け合い、そして、私たちを性的に消費しようとする男たちからの無数の声掛けと、私たちを蔑む目を思い出した。登場する少女たち一人ひとりに、かつての自
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