広島と長崎に投下された原爆の影響を調べる目的でアメリカが戦後設立した組織が、反米・反核運動が日本で高まる中、調査に協力的な被爆者が優先的に治療を受けられるよう便宜を図っていたことを示す文書が、新たに見つかりました。専門家は「アメリカの対日政策を検証するうえで貴重な文書で、被爆者に対する説明責任を果たすためにも、こうした資料を広く公開する必要がある」と話しています。 今回、アメリカ科学アカデミーで新たに見つかった文書によりますと、原爆投下11年後の1956年、当時、広島で活動していた「原爆被害者の会本部」という団体の代表が、東西冷戦の中で親米・反共主義を基本とするみずからの立場や調査への協力を伝えたうえで、自分たちの団体のメンバーに独占的に治療を行うよう、ABCC側に手紙で働きかけていました。 これに対し、ABCC側は優先的に治療を受けられるよう、日本側の機関と連携し、実際に便宜を図っている