批評と売り場、それぞれの観点で2005年のコミック界を回顧する伊藤さん(右)と田中さん(東京・豊島区のジュンク堂池袋本店で) 田中 店頭では、テレビドラマや映画化で話題となったものがびっくりするくらいよく売れた。『NANA』や『花より男子』ですね。グループや家族で買う人も多く、マンガがみんなで楽しむものになりつつある。 伊藤 少女マンガが100万部売れても、30代以上の男性はまったく知らなかったりする。ドラマ化はその垣根を越える一つの装置だし、全体を俯瞰(ふかん)できる立場にある書店が薦める作品は、僕も信用している。ブログなどの口コミで火がつくことも結構あるのでは。 田中 確かに、誰かが面白いと言う本に飛びつく人が多くなった。ネット上に信頼されるブログがあって購買に結びついているし、「R25」「ダ・ヴィンチ」など雑誌の書評の影響も大きい。 伊藤 面白い作品への需要はあるのに、出版点数が多く