サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)が話題になり始めた2007年当時、日本の金融機関は「安泰」という意見が多数を占めていた。しかし、「サブプライム問題」が「金融恐慌」と名を変え、実業界にも影響を与え始めて以降、日本の金融機関でも問題が表面化した。 2008年9月中間期には、取引先企業の業績不振で不良債権処理費用が増加したこと、株価下落で保有株式などの評価損が拡大したことが響き、主要行の最終利益合計は前年同期から約6割減の4000億円程度となった。 これら金融機関の損失拡大を防ぐ目的で「時価会計凍結」が議論されはじめたことをご存じの方は多いと思う。実際、2008年9月の第2四半期決算で、時価会計は実質「一部緩和」された。 しかし、時価会計は実際には世界のどこでも「凍結」されていないこと、それでも日本の金融機関が「時価会計を凍結してほしい」と主張し続けた背景を説明したい。これは、