子供のころ、不思議に思った。シヤチハタのハンコ(Xスタンパー)は、どうやってゴムからインクが出てくるんだろうって。 手作りした消しゴムのハンコは、1回捺したらインクが薄くなるのに、シヤチハタはそうならない。それが単純に不思議だと。 でもいつからか、そういうもんだよっていうオトナの答えを覚え、特に気にも留めなくなってた。それが最近、興味深い情報を知って、俄然興味が湧いた。なんと、“塩”でゴムからインクを出せるようにしてるというのだ。 シヤチハタと塩、一体どう関係があるんだろう。シヤチハタに話を伺った。 「無数の連続する気孔を作るのに、塩が最適だったんです」 塩が使われるあたりの工程を簡単に説明すると、ゴムを練り、塩を混ぜ、さらに練ったものを、印面がずらっと並んだシート状にする。それを約80度の熱湯に20時間浸けることで、練り込まれてた塩が溶け、溶けたあとにちっちゃな穴がいっぱい残るって仕組み