日経新聞で、有栖川有栖先生が「古今東西のいかにもミステリーな人々」を紹介するコラム「ミステリー国の人々」を連載してます。4月3日のコラムでは「幕切れに名探偵を襲う悪夢」として、 主人公を名探偵にするに当たっての注意事項。知的強者の嫌らしさを消すこと。 名探偵は誰よりも観察力・推理力に長け、警察の組織的・科学的な捜査をも出し抜く。事件の関係者(被害者を含む)がひた隠しにしていた秘密を白日の下に晒す。そんな行為に対して「いい気なものだ」と読者に冷たい反応をされてはまずい。 コラムでは、だからミステリー作家は「嫌らしさを解消させるために名探偵にハンディキャップを与える」と続きます。 強者の嫌らしさを消すこと。これは何もミステリーに限った話ではなくて、物語の主人公の多くは読者の共感を誘うため、ハンディキャップを背負わされます。生まれの不遇だったり能力の限界だったり、主人公に劣等感を植えつける存在で