免疫のないブタを、農業生物資源研究所(茨城県つくば市)などの研究チームが開発した。免疫不全の実験動物にはマウスやラットがあるが、ヒトに近い大型動物で成功したのは世界で初めて。拒絶反応を起こさないため、ヒトの細胞を移植し、医薬品の効き目を調べたりするのに利用できると期待される。13日付の米科学誌セル・ステムセルに発表した。 チームは、ブタの胎児から採取した体細胞に、免疫の機能を失わせた遺伝子を導入。個体を再生する「体細胞クローン技術」を利用して、遺伝的に同じクローンブタ40頭を誕生させたところ、うち14頭が免疫に必須な胸腺のないブタになったことを確認した。免疫不全ブタは感染症に弱いために短命になるが、うち5頭に正常なブタの骨髄を移植し、3頭が1年2カ月〜1年9カ月生存している。 現在、免疫不全マウスなどにヒトの細胞や組織を移植し、白血病などを再現したり、新薬の候補物質の効き目を調べたりする研