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ブックマーク / kasasora.hatenablog.com (1)

  • のらりくらりと逃げている - 傘をひらいて、空を

    今は毎日なにしてるのと訊くと掃除、と彼はこたえた。古いものって手をかけてやらないとあっというまに荒廃して人の気分を悪くさせるから。ボロ屋はボロ屋でも清潔であればそう悪くないものなんだ。僕は掃除に関してはけっこう有能で、一週間と一ヶ月と半年のローテーションを組んで作業を決めてる。だから抜け漏れはない。なかなかいい大家さんだろ。彼は中年の前半に似つかわしくない笑いかたをする。私も笑ってみせる。彼の笑いかたは子どもじみているようにも老人みたいにも見える。生活が老人ふうだからそう見えるので、予備知識がなかったら子どもめいた人間だと判断するかもしれない。口調はたいていほんのりと愉快そうで、振れ幅が非常に小さい。 掃除が終わったら104号室の長峰さんの新聞受けを見る。外から見るだけだよ、それで生きてるってわかるから。保証人の息子さんに頼まれて三日に一回声かけてたら長峰さん参っちゃってさ、おい俺は都会人

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