〈企画・制作 朝日新聞社デジタルビジネスセンター〉 ドラマを伝える将棋 〜名人・羽生善治氏に聞く(3) 2010年6月18日 ●棋士としてのこれからのテーマは ――大山康晴十五世名人のいくつかの通算記録も近い将来には抜き去り、文字通り前人未到の域に達することは確実。その先に目標とされていることは。 大山先生の時代とは存在するタイトルの数なども違いますから、もちろん単純に数字を比較することはできません。その大山先生を見てもわかるとおり、将棋はスポーツと違って、息長く活躍できる競技。そして、20代でなければ指せない将棋もあれば、60を超えて初めて指せる将棋もあると思うんです。ですから今後は、40代、50代とそれぞれの年代ごとにテーマを決めて、それを達成していきたい。もうすぐ40歳になりますが、『大局観』つまり、勝負の全体を見通す感覚のようなものはこれから伸びてくるところだと思うので、そこは磨き