気がつくと、いつもの彼らの試合になっている。 興南の試合を見るたび、そう思わずにはいられなかった。 興南が全国の頂点に立った。沖縄県勢初の夏の頂点は、東海大相模という強豪校を相手にしても圧勝してしまう、驚きの強さだった。 興南の強さ。 それは一言でいうと、「ゲームコントロール能力の高さ」だろう。どんな試合展開になっても、彼らは試合の主導権を握っているのだ。先制されようが、序盤に大量リードを許そうが、彼らは戦い方を変えずに、次第にゲームを支配していく。そして、終わってみれば、勝っている。対戦相手からすると、気がつくと主導権を握られ、試合をひっくり返されている。そんな印象だろう。 準決勝で5点のリードを跳ね返された報徳学園・永田裕治監督の言葉が、興南の強さを如実に示している。 「5-0から5-3になっても、負ける気はしなかったんですけど、勝っている感じもしなかった」 勝っていても、勝っていない