湯気が立ち上る鉄板に肉のような塊、その上には鮮やかな色つやの卵黄――。皆さんはこの商品をご存じだろうか。 これは居酒屋チェーン「塚田農場」の大ヒットメニュー、「加藤えのき 月見ステーキ」という商品である。毎年9月から翌年1月までの期間限定で販売していて、昨シーズンは4万3000食以上を売り上げた。前年と比べて1万3000食増、約143%の成長だ。この数字は塚田農場の限定メニューの中ではピカイチである。 エノキに鶏のつくねを載せたこの商品は、ステーキという名前の通り、肉厚な食感が楽しめるが、注目したいのはエノキの石づき(軸)の部分だけを使っていること。通常、家庭でエノキを調理する場合、根元の部分を取ってしまう人も少なくないだろうが、あえてそこをメインにするというのはユニークだ。 実は、エノキの生産者の間では半ば“常識”になっている。エノキの軸をしょうゆなどで焼くとホタテの貝柱みたいな味わいだ