で、ロードショーでは、どうでしょう? 第112回。 「なんか最近面白い映画観た?」 「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」 『おとうと』 山田洋次の映画作家としての磨き上げられた嘘を味あわしてくれる映画 断言しよう、山田洋次は映画を愛している。 いや、映画を観る人々を愛している。 もちろん、市井の人々を愛している。 彼らが映画が好きだということを信じている。 自分自身が映画好きだから、愛情を持って映画を撮っているように思える。 『髪結いの亭主』に啓発されて、『男はつらいよ』に髪結いの女性を配し、しかも、それは寅さんと息の合う女性となった。 『虹をつかむ男』はダニー・ケイの同名タイトルの映画と、映画を題材に描いた。 今回の『おとうと』は市川昆(市川監督の『おとうと』からの引用があるからだ)に捧げられている。 そう、山田洋次は、映画人を愛している。 俳優たちも、そんな山田洋次世