『ひろいもの』 寒空の下、街を繋ぐ公園の道を、猫背の人が、肩をいからせ、歩いている。 「ちくしょー、冬っ!さみいよっ!」 悪態を飾るように、携帯電話の着信音が流れる。 猫背の人のではない。 音の元を探すと、ベンチの足元に、震える携帯電話。 どうやら、誰かが落とした携帯電話のようだ。 「この場合、出るべきか?出ざるべきか?それが問題だ」 電話は切れる。 「自分が選ばなければ、時間が選ぶ、か」 なんてことをつぶやいていると、再び電話が鳴る。 「一度目は偶然。二度目はチャンスかね」 と、今度は、出てしまう。 「あの、もしもし」 「あ、すいません。この電話の持ち主なんですけど、今、それどこにありますか?」 「えーと、三角屋根の時計がある公園」 「神社の隣の公園ですよね」 「そうそう。神社を背にするベンチのところです」 「よかった!あ、今、取りに行きたいんですけど、まだお時間大丈夫ですか?」 「どれ
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