19日夕刊に載った小6男子の手紙が忘れられない。父親は東京電力の社員で、小学生新聞に投稿したものだという。 「原子力発電所を造ったのは誰でしょうか。もちろん、東京電力です」で始まる一文。「では、原子力発電所をつくるきっかけをつくったのは誰でしょう」と問いかける。「それは日本人、いや、世界中の人々です。その中には、僕も、あなたも、入っています」と続いた。 原発に生活を支えられ、「わたしが原発を造った」、この事実から目をそらすことを、男子は「無責任」とつづった。 取材のなかで感じる葛藤(かっとう)の正体を言い当てられた気がした。 御前崎市では「原発への不信」を口にすることがためらわれるほど、人々の生活は原発と直結していた。多くの口は重かったが、現状を伝えてほしいと、生活への不安を語る人がいた。一方、見えない放射性物質におびえる妊婦が、初めて起こした行動も取材を通して知った。 浜岡原発