2017年4月13日のブックマーク (1件)

  • 前菜のない人生の話 - 傘をひらいて、空を

    仕事で知りあった人が自分のプライベートについて話すのはおおむね、好意のあらわれである。自己開示というやつだ。まれに「もう黙れ」という意味をこめた開示もあるが、継続的に楽しげに自分について話すのはだいたい好意によるものだ。伴侶の話だとか、子の話だとか、年齢によっては孫の話だとか、あるいは近ごろの恋人や親しい友人の話だとか。そういう話をする合間には、信条、能力、具体的な価値判断など、無難ではない話題も出てくる。そのようにいろいろな話題を共有する相手を友人と呼ぶのだとわたしは思う。 目の前の女性は聡明で魅力的な人だ。手足が人形めいて長く、なかでも指の美しさときたら格別で、かぼそいのに力強く、神経がいきとどいている。シャープな印象に比して輪郭や目はまるくて可愛い(胴体だってみんな褒めるんだろうけど、わたしは、肩幅も胸も腰も薄い、いわゆるモデル体型を個人的に好きではない)。 彼女は知り合って一年のあ

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