音源定位とは 音源定位とは聴覚入力をもとに外空間における音源の位置を特定することである。つまり求める物体や回避する物体の方向、あるいは注意を向けるべき方向を決定することであり、我々人間を含めた動物にとって重要な能力である。その精度は非常に高く、人間やフクロウでは角度にして1度程度の精度で音の方向を識別できることが知られている。 音源定位に関わる聴覚情報 音源定位は主に、音源の位置によって左右の耳に生じる音情報の僅かな差を使って行われる。代表的なものは音の到達時間および強度の違いであり、それぞれ両耳間時差(interaural time difference: ITD)、両耳間音圧差(interaural level difference: ILD)と呼ばれる(図1)。 ヒトも含めた多くの哺乳類においては一般に高周波音ではILDを、低周波音ではITDを使っていると考えられている[1]。これは